一方、サ高住のもう一つの課題として挙げられるのが、サービスの品質だ。例えば、サービス付きの「生活支援サービス」が何を指すものなのか、どこまでの範囲なのかなど、利用者と職員の間や職員同士の間に情報のギャップや認識の違いが生まれる、というのはよくあるケースだ。また、利用者が「施設に併設されている介護保険サービスを使わなくてはならない」と考え、本来必要な介護サービスを受けられなくなる、というケースもあるのだという。
「本来、利用者さんには介護保険サービスの選択の自由があるもの。例えば、就寝や起床時に支援が必要な利用者さんなら、デイサービスよりも訪問介護の優先順位が高いです。事業者は、入居時の説明を丁寧に行うことによって、こうした情報のギャップや認識の違いによって起こるトラブルを解消する必要があるでしょう。
また、サ高住のサービスの品質の向上、つまり利用者さんのクオリティオブライフの向上を考えるなら、やはり職員一人ひとりの質を高めなくてはなりません。介護が持つ可能性や希望、そしてリスクも含めて、職員の階層や専門性に応じた研修が必要です」と五郎丸氏。こうした課題を解消すべく、サ住協では、この秋、初めて現場職員向けの教育研修を実施する。今年は仙台・東京・大阪・福岡にて、サ高住の職員ならではの課題に取り組む研修を行うという。
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