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デジタライゼーションと介護機器開発の最新事情
〜デンマーク・スマートオーフスにおける  福祉技術セミナー報告〜

  • No.22017年1月21日発行

2016年11月30日、デンマーク・オーフス市の幹部が来日し、スマートシティ&福祉先進国の最新事情についての講演がありました。
デンマークの面積は43,094㎢、九州とほぼ同じ広さで、そこに人口571万人(ちなみに、福岡県の人口は510万人)が暮らしています。そんな小さな国ですが、食料自給率300%、エネルギー自給率132%、国際競争力は8位(ちなみに日本は27位)*1、そして租税負担率が高いにもかかわらず、国民幸福度世界1位*2という国です。

 

デンマークのデジタライゼーション

この小国の経済・経営をささえるのはデジタライゼーションです。スマートシティNO.1というこの国では、環境・水データ、エネルギー供給、交通システム、医療情報、農業、介護福祉ロボットシステム、教育、政府、地方自治におけるIT融合が実現化されつつあり、すでに電子政府サービスにより、住所変更や年金手続き、不動産、税金、警察や裁判所の手続きなども全てWEB上でできるようになっています。

 

医療データについても、デンマークでは、CPRナンバー(デンマーク版マイナンバー)が確立しており、市民や患者が、医療従事者との間で情報共有するためのサイト”sundhed..dk“という医療ポータル が運用されています。このポータルサイトは、EHR*3システムと連携しているため、医療従事者はクラウドデータベースに保存された全ての患者データにアクセスすることができ、他の医療施設の最新患者情報や治療履歴を参照できるようになっています。市民や患者は、ポータルサイトにあがっている自分の全ての病院履歴(治療履歴や各種記録)、処方箋情報、投薬履歴、GP(かかりつけ医)への訪問履歴、各種検査結果などがいつでも閲覧できます。また、このポータルサイトから、かかりつけ医に予約したり、遠隔での医療サービスを受けたりすることが可能です。

デンマークの医療ポータルサイト “sundhed.dk”

 

デンマークはかかりつけ医制度のある国。かかりつけ医からの紹介がなければ、日本のように直接専門病院で受診することはできません。紹介を受けた専門病院では、専門医が治療のために患者の全ての医療情報を閲覧できます。日本ではやっと医療情報連携が実現しつつあるところです。その意味ではデンマークとは周回遅れどころか、2周以上の差がついているのではないでしょうか?

こうしたデジタライゼーションがあってこそ、ビッグデータをもとにしたAI技術の発展やIOT社会の実現が可能になります。デンマークでは主要都市ごとに公共ビッグデータが蓄積されており、そのデータをもとに、交通やエネルギーコントロールなどのシティマネジメントが行われています。例えばコペンハーゲンでは、自転車が交通手段の3分の1を占めますが、雨が降れば時速20kmで走る自転車が止まることなく走れるように、信号が青に変わります。ビッグデータをベースにしたトラフィックコントロールが行われているのです。