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「ビタミンD」ってご存知ですか?

  • No.22017年1月21日発行

「ビタミンD」ってご存知ですか?

ビタミンAとかB、Cなどは、よく耳にするビタミンですが、ビタミンDはあまり聞きなれないビタミンではないでしょうか? でも私たちの身体にはとても重要な栄養素なのです。

ビタミンDは、骨の形成に関わりの深いビタミン。たとえ骨の材料となるカルシウムやリンが十分であったとしても、ビタミンDが不足すると満足な骨はできません。体内に入ったビタミンDは、カルシウムやリンの吸収をよくして、カルシウムが骨に沈着するのを助ける働きをします。ビタミンDが不足すると子どもではくる病になり、大人では骨がもろくなって骨折しやすくなったり、骨軟化症や骨粗しょう症を起こしたりします。また歯を支える下あごの骨も弱り、歯がぐらぐらする症状も出てきます。

ビタミンDの欠乏症の原因として、食品から摂取するビタミンDの摂取不足がありますが、ビタミンDは他のビタミンと異なり、紫外線に当たることで、ビタミンDを体内で合成することができます。そのため十分に日光に当たっている場合は食品からの摂取量が多少不足してもビタミンD欠乏症はほとんど起こりません。しかし、ビタミンDの摂取不足や日照不足がつづくと、体内のビタミンDが減少して骨へのカルシウムやリンの沈着が減少するため、骨が軟化して骨の変形や痛みなど、ビタミンD欠乏症の症状が起こります。

よく日光に当たっている人なら、それほどビタミンD不足の心配はいりません。そもそもビタミンDは、くる病が日光に当たらない人に多いことから発見されたビタミンなのです。

肌を老化させたり、皮膚がんの原因になったりと、何かと嫌われ者の紫外線ですが、ビタミンDとの関係を見直したいものです。日光に当たる機会の多い人は、ビタミンDの必要量の半分近くはまかなえるとも言われています。

近年、高齢者のビタミンD不足が問題となっています。
ビタミンD欠乏症の最も多い原因は日光を十分に浴びないことです。そのためビタミンD欠乏症は主として高齢者や介護施設に暮らす人など、屋外で過ごす時間が短い人に起こりやすいのです。
また、高齢になると、うつ病や認知症による食欲不振、唾液分泌の減少、咀嚼力、嚥下機能や消化機能の衰えなどにより栄養素が不足しがちになり、このこともビタミンD欠乏症の一因になっています。

 

ビタミンD不足を予防するために

  • 1日10~15分程度の日光浴をしましょう
  • ビタミンDを多く含む魚類(鮭、かわはぎ、さんま、うなぎ蒲焼、いさき、かれいなど)、 きくらげ、干し椎茸などを積極的に食べましょう
  • ビタミンDは油に溶ける性質があるので、炒めものや揚げ物にすることで吸収率が
    アップします
  • 最近の干し椎茸は機械乾燥が多いので、調理前に日光に当てることでビタミンDを 増やすことができます
  • 乳製品や大豆製品、緑黄野菜、海藻類などカルシウムを多く含む食品とビタミンDを 含む食品を組み合わせて食べることで、ビタミンDの吸収が良くなります

 

161025002 後藤 恭子氏

ごとうきょうこ

管理栄養士 THP産業栄養指導者 ヘルスケアオンライン株式会社取締役

タニタ社員食堂の礎を築いた初代管理栄養士。企業、病院、銀行などで栄養管理、栄養指導を行っており、指導歴約40年、指導を受けた人は5,000人を越える。70歳代になった現在も健康そのもので医師知らず。「その人に合った健康的な生活習慣を伝えること」がミッションで、ダイエットを越えた「食べ方」や、それを支える「考え方」を圧倒的な経験を踏まえて実行しやすい形で伝える。